乳腺線維腺腫とは
乳腺線維腺腫とは乳腺にできる腫瘍で、特に思春期から20代の方によく見られる疾患です。腫瘍自体は良性のものですが、徐々に大きくなる特徴があります。この腫瘍には、母乳を分泌する乳腺が増殖する「管内型」というタイプと、乳腺の周辺にある脂肪組織が増殖する「管周囲型」、そしてその両方が混在するタイプがあります。
痛みはある?
乳腺線維腺腫の症状
腫瘍が徐々に成長し、手で触れてはっきりと分かるようになるのは10代後半から20代の時期になるというケースが多いです。一般的に痛みを感じることはなく、30歳を過ぎると成長が止まり、40代から50代を過ぎると退縮または自然に消えていきます。
成長の速度は人によってまちまちですので、腫瘍があることを自覚する時期も様々です。
閉経後には自然に消えることもあります
乳腺線維腺腫は女性ホルモンの影響でできるものと考えられており、年齢が上がってホルモンの分泌状態が変化するにつれて自然に消えていく例も多く見られます。
腫瘍がしこりとして表面上目立つ場合や痛みがある場合には、手術によって除去することもありますが、基本的には経過観察をすることが多いです。
乳腺線維腺腫の原因
乳腺線維腺腫の原因ははっきりとは解明されていません。思春期以降に発症し、その後20代までの間に症例が増えることが分かっていますので、女性ホルモンのバランスの乱れが関係しているものと考えられています。
乳腺線維腺腫と乳がんの違い
乳腺線維腺腫で見られる症状として、乳房に腫瘍ができ、これがしこりとして感じられることから、乳がんと混同されがちです。ただし最も大きな違いは、乳腺線維腺腫の場合は良性の腫瘍であるのに対して、乳がんの場合は悪性の腫瘍であるという点です。
乳がんのしこり
乳がんの場合にできるしこりは触ると硬い感触で、根が張って動かないような状態になります。皮膚の表面がへこんだり、隆起したりする症状も見られます。
線維腺腫のしこり
乳腺線維腺腫の場合に見られるしこりは、乳がんと違って根が張ったような状態ではなく、コロコロとよく動く状態になります。触っても痛みを感じることはありません。
乳腺線維腺腫の検査・診断
乳腺線維腺腫の検査は、問診と患部の触診を行い、さらに超音波検査とマンモグラフィ検査を行った上で組織片の生検を行います。
生検により、腫瘍が乳腺線維腺腫によるものであることがほぼ確定できます。
乳腺線維腺腫の治療
乳腺線維腺腫であることの検査結果が判明した場合は、特に治療の必要はありません。半年または1年に1回程度通院していただき、超音波検査などで腫瘍の変化の有無を経過観察していきます。